インセカンズ
秋晴れの今日は、まるで二人の門出を祝福するかのように澄んだ空が広がっている。ガーデンウェディングにぴったりの日取りとなった。
幸せそうに肩を並べる新郎新婦の周囲は、入れ替わり立ち替わり祝辞を述べに訪れる出席者が後を絶たない。
緋衣は、今日の主役である同期のアミと山崎の様子を遠巻きに見ながら、半年前のことを思い出していた。
季節はまだ春。山崎と屋上で休憩を共にした数日後、相談があると言って屋上へと連れていかれた。そして再び緋衣の手を取ると、指輪のサイズを聞いてきたのだ。勿論、そのサイズというのは左薬指の事で、実は、恋人という訳ではないが、かれこれ数年の間くっついたり離れたりを繰り返している相手がいるのだが、その相手というのは、山崎の事を都合のいい男くらいにしか思っておらず、ここは一発逆転、プロポーズと共に指輪を渡したいのだと言った。
『それって、無謀じゃない?』
山崎の計画を聞いたときの緋衣の第一声だ。
『そのくらい、俺だって分かってる。でも、あいつにはそれくらいしないと響かないんだよ』
『そうかもしれないけど、段階というものがあるでしょ。先ずは、ちゃんと気持ちを伝えてからでも遅くないんじゃない? いつも、お互いの部屋を行き来するしかしてないんだったら、例えば、お洒落ななレストランに連れていって、』
山崎は首を横に振りながら、緋衣の話を遮った。
『あー。そういうの、あいつには通用しないんだわ。男と別れる度に俺のとこきて愚痴るんだよ。流行りの店とか、ちょっと高めのいい店とか結構色々連れていってもらってるくせに、店員に対する態度が上から目線で気に入らなかったとか、お得意様気取っても結局は親の七光りでしょとか、シャンパン頼んだらダイヤのリング入りのシャンパンが運ばれてきて気持ち悪かったとか、っていうか、それプロポーズの演出だろって話なんだけど、男変わる度に、ま~色々と聞かされる訳。それくらい目瞑れば玉の輿に乗れるって縁でもあっさり切るんだなよ。めちゃくちゃな女には、こっちもそれくらいで挑まなきゃやってらんないんだよ』
幸せそうに肩を並べる新郎新婦の周囲は、入れ替わり立ち替わり祝辞を述べに訪れる出席者が後を絶たない。
緋衣は、今日の主役である同期のアミと山崎の様子を遠巻きに見ながら、半年前のことを思い出していた。
季節はまだ春。山崎と屋上で休憩を共にした数日後、相談があると言って屋上へと連れていかれた。そして再び緋衣の手を取ると、指輪のサイズを聞いてきたのだ。勿論、そのサイズというのは左薬指の事で、実は、恋人という訳ではないが、かれこれ数年の間くっついたり離れたりを繰り返している相手がいるのだが、その相手というのは、山崎の事を都合のいい男くらいにしか思っておらず、ここは一発逆転、プロポーズと共に指輪を渡したいのだと言った。
『それって、無謀じゃない?』
山崎の計画を聞いたときの緋衣の第一声だ。
『そのくらい、俺だって分かってる。でも、あいつにはそれくらいしないと響かないんだよ』
『そうかもしれないけど、段階というものがあるでしょ。先ずは、ちゃんと気持ちを伝えてからでも遅くないんじゃない? いつも、お互いの部屋を行き来するしかしてないんだったら、例えば、お洒落ななレストランに連れていって、』
山崎は首を横に振りながら、緋衣の話を遮った。
『あー。そういうの、あいつには通用しないんだわ。男と別れる度に俺のとこきて愚痴るんだよ。流行りの店とか、ちょっと高めのいい店とか結構色々連れていってもらってるくせに、店員に対する態度が上から目線で気に入らなかったとか、お得意様気取っても結局は親の七光りでしょとか、シャンパン頼んだらダイヤのリング入りのシャンパンが運ばれてきて気持ち悪かったとか、っていうか、それプロポーズの演出だろって話なんだけど、男変わる度に、ま~色々と聞かされる訳。それくらい目瞑れば玉の輿に乗れるって縁でもあっさり切るんだなよ。めちゃくちゃな女には、こっちもそれくらいで挑まなきゃやってらんないんだよ』