インセカンズ
『めちゃくちゃっていうか、筋は通ってるよね。要は、人を見てるんでしょ。セフレとはいえ、何年も続いているんだったら脈がない訳でもないのかもね』

『だろ? 俺もどっか、もしかしてイケるんじゃねーのってずっと思ってきたけど、現状を変えるきっかけがほしんだよ』

『でもねぇ……。ねぇ、もしかしてだけど、その相手って私が知ってる人とかじゃないよね?』

嫌な予感はしていた。何となく、身近にいるそれと思しき性格の持ち主の顔が浮かんだ。

『え……っ』

『えっ、て……。まさか、アミ?』

『すげぇな、アズ。おまえエスパーかなんか?』

おお、と驚きと共に感嘆の声を上げた山崎に、緋衣はがっくりと肩を落とした。

『あー……、ごめん。今の聞かなかったことにしていい? 相手がアミなら、なおさら協力なんてできないよ。内緒で付き合ってること、私が知ってたとなったらアミだった気まずいかもしれないし、何かあったら絶対面倒なことになる。それに、デザインとか好みだってあるでしょ』

『でもあいつ、アズのこと昔から気に入ってるし、服の趣味が合うって言ってたの聞いたことあるぜ』

『分かった……。じゃあ、指輪のサイズだけ教える。変わってなければ、アミは私と同じ7号。確かに、持ってるものとか流行もあるけどいくつか被ってるのもあるし、リングはお互いの嵌め合いっこした事もあるから合ってると思う』

『もう一声!』

『上手に言ってアミのことジュエラー連れていって、好みリサーチしてくる。それでいい?』

『マジ感謝。俺の女神サマ』

『女神はアミでしょ。知らないからね。撃沈したり、上手くいっても好みじゃないとか言われたらどうするのよ?』

『かまわないさ。俺の20代の恋の思い出に後生大事に取っておくよ』

『潔いんだか未練がましいんだか』

『立つ鳥跡を濁さずだよ』

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