インセカンズ
披露宴の後、緋衣と安信は彼のマンションに帰宅した。室内は、緋衣の持ち物が遠慮がちではあるが日ごとに増えていっている。
部屋着に着替えた二人は、リビングのソファで寛いでいた。
「なぁ、アズ。もういい加減、こっち引っ越してくれば? 会社だって近くなるし、何よりずっと一緒にいられる。良いことしかなくね?」
「そうですよね」
緋衣は、紅茶の入ったティーカップをさっきからフゥフゥしている。
「そうですよねって……。アズ、そればっかだよな。まさか、この先何かあったらとか考えて、自分の部屋残しておきたいのかよ」
「そういう訳じゃないんですけど」
猫舌の彼女は、時期早々と判断してカップをテーブルに置く。
「アズって俺のもんじゃないの? 俺だってアズのもんだろ」
「違いますよ。私はヤスさんだけのもので、ヤスさんは私だけのものです。ヤスさんこそ、分かってます?」
そうだろ?と尋ねてくる安信に対して、緋衣は首を横に振る。安信を信じていない訳ではなかったが、未だコンスタントに噂に上る彼の女性関係は、耳を塞いだところでどうしても聞こえてきてしまう。ただの噂にすぎなくても、自分の恋人が他の女性と話題になるのは気分の良いものではない。けれども、気にしていると悟られたくはない為、彼と付き合うようになってからはその手の話題で茶化すことはしなくなった。
「アズってさ。俺が思っている以上に臆病だよな。俺はおまえがいい。おまえしかいらない。そんな言葉でいいなら、いくらだってやるよ」
安信は、アズの言わんとしていることを理解したのか、左膝をぽんと叩いて自分の上にくるように促す。彼の膝の上を跨いで向い合わせになった緋衣のサイドの髪を耳に掛けてやると、亜麻色の髪を優しく撫でる。
部屋着に着替えた二人は、リビングのソファで寛いでいた。
「なぁ、アズ。もういい加減、こっち引っ越してくれば? 会社だって近くなるし、何よりずっと一緒にいられる。良いことしかなくね?」
「そうですよね」
緋衣は、紅茶の入ったティーカップをさっきからフゥフゥしている。
「そうですよねって……。アズ、そればっかだよな。まさか、この先何かあったらとか考えて、自分の部屋残しておきたいのかよ」
「そういう訳じゃないんですけど」
猫舌の彼女は、時期早々と判断してカップをテーブルに置く。
「アズって俺のもんじゃないの? 俺だってアズのもんだろ」
「違いますよ。私はヤスさんだけのもので、ヤスさんは私だけのものです。ヤスさんこそ、分かってます?」
そうだろ?と尋ねてくる安信に対して、緋衣は首を横に振る。安信を信じていない訳ではなかったが、未だコンスタントに噂に上る彼の女性関係は、耳を塞いだところでどうしても聞こえてきてしまう。ただの噂にすぎなくても、自分の恋人が他の女性と話題になるのは気分の良いものではない。けれども、気にしていると悟られたくはない為、彼と付き合うようになってからはその手の話題で茶化すことはしなくなった。
「アズってさ。俺が思っている以上に臆病だよな。俺はおまえがいい。おまえしかいらない。そんな言葉でいいなら、いくらだってやるよ」
安信は、アズの言わんとしていることを理解したのか、左膝をぽんと叩いて自分の上にくるように促す。彼の膝の上を跨いで向い合わせになった緋衣のサイドの髪を耳に掛けてやると、亜麻色の髪を優しく撫でる。