メランコリック
母は私が父に会いに行くことを望んでいるのだろう。
それほどに、父の容態は良くないのかもしれない。
父の肝臓にはガンがある。

そう長くはないと父の両親である祖父母からは聞いている。
しかし、私が父の見舞いに行くことはないだろう。


*****


私の日々は平穏だ。
単純な仕事は1ヶ月経たないうちに覚えられた。
毎日、年上の男性に混じって、会話もなく静かな職場で朝から晩まで過ごす。
そして、帰って本を読んで眠る。

平穏だ。
いや、一点だけ。

週に一度、相良が本社にやってくることだけが悩みだった。


12月は結局その後も二度一緒に帰った。
クリスマスはまたしても笙子を巻き込み、三人で食事となった。
彼氏持ちの笙子からしたら迷惑だろうと思ったが、彼女は「彼氏は仕事だからいい」と寛容な態度。
そこは、断ってくれた方が私的には嬉しいんだけれど。
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