メランコリック
「来てくれてありがとう。今回は私が行く番だったのにね」


私は駿吾の顔を見ながら言う。駿吾の横顔が好きだ。高い鼻梁と長いまつげの陰影がよく見えるから。


「いーよ。気にすんな」


駿吾と付き合って二年半になる。
変わらずイデア・ジャパンに勤める駿吾と、地元の総合病院で看護師をしている私は、プチ遠距離恋愛状態だ。
お互い休みが合いづらいし、電車で二時間の距離に隔てられている。

私たちのデートは、月に一度か二度。
駿吾が私の最寄り駅まで会いに来てくれるか、休みを利用して、私が駿吾の部屋に泊まりに行くか。
今回は私が泊まりに行く番だったのに、駿吾がこちらに来てくれた。


「そりゃ、うちに泊まってくれた方が色々できて嬉しいよ」


「何、言ってんの」


下心満載の駿吾の言葉に、私は笑う。なおも、駿吾が言う。
< 207 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop