メランコリック
「誰も構ってやんない暗くてキモいおまえを抱いてやるって言ってんのに。感謝するのがフツーだろ!それとも、おまえはこの先一生、誰とも関わらず、触れ合わず、生きていくっつーわけ?」


藤枝は答えない。
俺は苛立ち、椅子から立ち上がった。
ずんずんと歩み寄り、藤枝の腕を、肩を、つかむ。
華奢な身体は俺の力で簡単につぶれてしまいそうだ。


「杉野みたいな男をこっそり想って、人生満足。それで終了ってか?ぼっちがそんなに楽しいか?」


「私は……それでもいいと思ってる」


藤枝が見上げる。俺との身長差はキスに丁度いい距離だった。

だけど、俺がキスしたいと思っても、藤枝は俺を拒絶する。

当たり前か、一年以上もいびり倒してきたんだもんな。

俺との寝るくらいなら、仕事変えた方が楽だわな。

わかってたけど、ムカつく。
俺を平気で拒絶するこの女がムカつく。
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