嗚呼っ、美しきイケ麺’sよ!

 ペタッ


「・・・おい」

「んー?」

「・・・おい」

「んー」


 ペタペタ


「くすぐっ、たっ・・・!」

「あ、ここ冷てー」

「おまっ、なっ・・・!」

「ひんやり冷麺。おれだけのー」


 やきそばに背を向けるように横向きに寝ている冷麺の背中に、ぴったりくっつく背後霊、やきそば。

 服の中に手を突っ込み、どこが一番冷たいか探すやきそばの手つきは、もうそろそろ犯罪になってもおかしくない。

 結局、いろいろまさぐって、落ち着いたところは腹部だった。


「すぅ・・・。んぅ・・・すー・・・」


 耳元でいつも聞かない寝息が、いやに鼓膜を震わせ、眠れない冷麺。


「・・・・・・・・・」

「ふふっ。・・・あ、それ・・・おれ、のぉ・・・。そ、ばさん・・・食っちゃ・・・、だ、めぇ・・・。ふふふっ」


 どんな夢を見ているのやら。


「・・・、寝れねぇじゃんかよ」

「へへっ・・・。やーい・・・、れーめんの、ばー・・・かぁ・・・へへっ・・・すぅ」

「コイツ、わざとじゃねぇだろうなぁ・・・」


 額に薄く青筋が浮かんだ冷麺だった。

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