嗚呼っ、美しきイケ麺’sよ!
「じゃ」
「はい。お元気で」
哀しそうな笑顔を浮かべたそうめんが、そばにお辞儀をした。
「そんな顔すんじゃねぇっての。また、すぐ会えるからよ」
そうめんと、ポケットに手を突っ込み、そっぽを向いている冷麺、そして、そばとざるそば、うどんの三人を真正面から見つめているやきそばの頭を、ポンポンと優しく撫でた。
「はい・・・!」
「じゃ、な」
「バイバイ!またねっ」
そうめんは、はにかみながらうどんに返した。冷麺は顔を三人の方に向け直し、別れを告げた。やきそばは手をブンブン振った。
「うん。さよなら」
「また」
「またな!」
軽く右手を左右に振ったそば。ペコリとお辞儀をしたざるそば。うどんは、ニカッと笑い、右手を上げた。
楽しかった日々は、あっという間に過ぎて行ってしまった。
蝉が、また騒がしく鳴き始めた。
「あぢい」
そうめん宅が見えなくなったところで、うどんが呟いた。
「言うと余計暑く感じるから、止めて」
苦笑して、そばがうどんを制した。
「蝉うるせー」
「そうだねえ」
「あぢいいー」
ざるそばの呟きに返事を返したそばは、右側で呟いたうどんの頭を叩いた。
「った」
「言うなって言っただろう?」
「うどんが悪い。今のは」
蝉が、うるさく鳴きだした。