嗚呼っ、美しきイケ麺’sよ!

学園祭と和麺's


「以上で帰りのホームルームを終わるー。日直ー」

「きりーつ、れー」

「うあああ、明日学園祭じゃぁー」

「やっべ、まだアレ終わってねええ!」

「ねーえ、やっぱあたしメイド服なのー?」

「いいじゃん、アンタ、めっちゃ似合ってたんだからさぁ」

「あたしなんか、執事コスだよー。一応、女だってのにさあ」

「いや、お前は似合ってた。うん。男の俺でも惚れるかと思ったわ」


 ホームルームが終わり、ざわつく教室から、タタタッと素早く出て行ったのは、やきそばだった。


「やきそばくん」

「わっ?!あ、担担麺かぁ」

「そんなに急いでどうしたんだい?何か急用でも?」

「あ、うん。まぁ、ね~。色々、屋台出す予定だからさぁ。あ、もしかして担担麺も手伝ってくれるの?」

「まさか。そんなワケないだろう?」


 肩を竦めて、担担麺は眉尻を下げて笑った。


「そっか。あ、でも、とんこつは手伝ってくれるってさ」

「へぇ・・・。とんこつくんが、ねぇ・・・」

「じゃ。とんこつんトコ行ってくらあ」

「行ってらっしゃい」


 にこやか手を振った担担麺は、走り去ったやきそばの姿が見えなくなると、振っていた手で、口を覆った。


「ふふっ」


 誰にも聞こえ無い様な、小さな声で、担担麺は笑った。


「どうやって、アソボうか・・・?」


 担担麺は、もう一度口角を微かにあげると、何事も無かったかのように颯爽と廊下を歩きだした。

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