眼鏡の下のキミ
重い足取りで中庭に向かった。



軍手をつけてスコップを持ち、階段のまえにしゃがみこもうとすると、奥に誰か人が居るのが見える。



「…誰だろう」



そう独り言を呟いてその人の方向に歩いて行った。



近づいてみると、スラッとした男の人がベンチにバッグを枕にして眠っていた。



引き寄せられるようにもっと近づいて顔を覗き込む。



綺麗に通った鼻筋とバランスの良い唇が見えるが、目は長い前髪で見えない。



私は軍手を外した。



前髪をそっとどかそうと手を伸ばそうとした時、暖かい春風が吹き男の人の前髪を揺らす。



あっ…………



男の人は寝ていても分かるようなイケメンだった。
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