眼鏡の下のキミ
「……お…り」


先ほどの風のせいか、私が足音を立てたせいかは分からないけど、男の人は何かを呟いて顔を歪めた。



ヤ、ヤバイ!…起きた…かな?



そう思ったのは一瞬で、男の人は規則正しい寝息をたてた。



ホッとしてよく見ると、ネクタイの色が私と同学年の2年生を表している赤色だ。



こんなにカッコいい人いたっけ?と記憶をたどってみるけれど、全く思い出せない。



同じクラスではない事は分かる。



私、カッコいい人とかあんまり興味ないからなぁ……



でも、何故だが分からないけど彼を見ているとドキドキが止まらない。



一目惚れってやつ?



って、まさかそんな訳ないよね。



話した事がないのに好きになるなんて有り得ないから。



そう自分に言い聞かせながら花壇に戻ろうとした。
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