甘い時 〜囚われた心〜
「晋也様がお待ちです。一度神楽家へお戻りください」

柳瀬の言葉に雛子は胸が苦しくなる。

この時が来た…

と思った。

「二人は…まだ神楽にいるのね…?」

「はい」

二人は今、主人を晋也だと決めている。

二人は何があっても主人の名ならば従う者達だ。

「わかりました…参ります」

雛子は鈴音に走り寄った。

「ちょっと、いってきます」

「でも神楽にでしょ!?」

心配そうに雛子を見つめる。

不安を隠して、精一杯笑った。

「少し、話をするだけです。大丈夫ですから…」

握られた手をソッと外し、微笑んだ。

そして、柳瀬達が乗ってきた車に姿を消した。



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