甘い時 〜囚われた心〜
時計が夜中12時を指した時、雛子は桜華の部屋の前にいた。

静かに部屋に入り、できるだけ音が出ないように扉を閉める。

ベッドの端に腰掛け、静かな吐息を漏らし眠っている桜華の寝顔を見つめた。

少し目にかかった前髪を人差し指で横へ流す。

触れたか触れないか分からないぐらいのキスをする。

体を起こしかけた雛子の腕を桜華が掴んでいた。

「夜這い?」

「起きてたの?」

フッと寝起きの顔が柔らかく微笑んだ。

「いくら寝起き悪くても、気配ぐらいは気づく…入ってきた時から起きてた」

「起こしちゃってゴメン…」

桜華の大きな手が雛子の頭を引き寄せ、キスをしてきた。

少し大人のキスを…。

「…誘ってる?」

いきなり、色気を全快に出してくる。

「…うん…」











熱いキスが雛子の身体中に降ってくる。

押し寄せる甘い感覚に身を委ねた。

繋がれた手を離したくなくて、いつもより強く握る。

雛子は最後に桜華に抱かれに来たのだ。

その温もりを忘れないように…
< 112 / 175 >

この作品をシェア

pagetop