甘い時 〜囚われた心〜
どこか遠くで、音がする…

雛子は、音に導かれるように、重たい目を開けた。

遠くで聞こえた気がした音は、桜華が、ノートパソコンを打っている音だった。

体を横にしたまま、目を動かして、辺りを見てみる。

見覚えのある部屋。

大きく立派な机。

自分が寝ている黒い大きなソファー。

窓際に日を浴びる観葉植物。


(理事長室…)

何度か来たことがあった。

この数週間で知ったこと。

この学校は桐生院家が経営しているということ。

理事長室は、学校で仕事をする時に桜華が使っているということ。

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