甘い時 〜囚われた心〜
「篠原さん!」

リムジンのホコリを大きな羽根ではらっている運転手の篠原に声をかけた。

「ん?あー、雛子ちゃん」

篠原は、四十代で、顎に生えた髭が印象的な男性だ。

運転手兼、ボディーガードをしているせいか、体つきもいい。

「篠原さん。桜華様知りませんか?」

はぁはぁと息を切らしながら、一気に喋った。

「今日は、会議があるとかで、まだ、会議室にいると思うよ。雛子ちゃん、車で待ってるか?」

大きく息を吸ってはいて…息を整える。

「ううん。理事長室にいます。先に帰られたからと思って、出てきちゃったけど、さっきまでいたから、いなくなったら、怒られちゃうかも…」

二人で、クスッと笑う。

「そうだな」

雛子は篠原に会釈して、校舎に戻ろうとした。

「雛子さん…?」

呼ばれて振り替えると、そこには、懐かしい制服と懐かしい人達がいた。
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