甘い時 〜囚われた心〜
桜華を探しながら、とりあえず、教室に戻ろうと歩き出した。

まだ、残っていた生徒達が、雛子を見つけて声をかけていく。

「雛子ちゃん、バイバイ!」

見知らぬ人達だが、一度立ち止まり、ニッコリと微笑みながら、

「さようなら」

と会釈する。


雛子の後ろ姿を見ながら、残念そうに話していた。

「マジ、可愛いよなぁ…」

「でも、桐生院のもんだしなぁ…」

「はぁ…」

そんな会話がされていることなど、知りもせず、テクテクと歩いていく。


ふと窓の外を見ると、桐生院家のリムジンが玄関に止まっているのが見えた。

雛子は階段を走り降りた。

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