甘い時 〜囚われた心〜
雛子の小さな細い体を後ろから抱き締める。

毛布一枚で二人の体をくるんで。

「寒くないか?」

「はい。暖かいです」

桜華の手を、ソッと自分の頬に当てた。

幸せだった。

気持ちが通じ合う事が、こんなに幸せだと思わなかった。

例え、この幸せが永遠に続かないと分かっていても、その手を離す事はできなかった。

元令嬢だとしても、今はただの使用人。

桜華は、日本で一二を争う大企業の御曹司。

不釣り合いなのは、雛子が一番分かっている。

それでも、側にいたかった。

抱き締めてほしかった。

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