無声な私。無表情の君。
部活でもボーッとする時間が増えた。
今日なんかは正にそう。

「…ぃ。愛…」

ってまたボーッとしてた。
呼んでくれたのは




康介だった。



「体調悪いのなら帰っても…」

フルフル

【ごめんなさい】

「なら、足でまといになるな。厄介だ」

別れてから、誤魔化すためなのかは分からないが一緒には帰らなくなっただけで、普通に会話はしている。
ただ、言葉にトゲがある感じになった。
仕方ないよね。
別れたんだし。
私の事嫌いなんだし。

早く帰りたいな。
そんな感情すら生まれていた。

「ラスいちー!!」

ピーーー

練習ももうすぐ終わり。
稔人君の声で皆が最後の体力を使い切る。

「「「ありがとーございましたー!」」」

あ、終わった。
またまたボーッとしてた。
大丈夫かよ、私。

「愛ちゃーん!」

珍しくは無いけど、稔人君から声が掛かる。

「最近どしたの?何かあった??」

何かって……。
大ありだよ。
でも、書けない。
書きたくない。

【貧血でボーッとする事が多くなってさ】

「あー!知ってる、知ってる!」

え、何が?
出任せよ?今の。

「生理痛みたいな感じのやつだよね?
あれってさ、みぞおち数10回も殴られる痛さなんでしょ?」

耳元で囁くように言ってきた。
あいにく、生理でもなければ貧血でもない。
つか、誰だよ。稔人君に生理痛の痛さを教えたの。ちょっと盛ってるよね。
まあ、痛い時はそれぐらい痛いけどね。

【そうなんだ。だからさ】

「康介に言っとこうか?愛ちゃんが言えないなら言っとくし、俺なら言えるぜ?」

!?
どう考えて、そうなった!?
普通、言わないだろ!
プライバシー、プライバシー!
誰が、へるぷみー!!!

「って事で!」

ガシッ

【言わないで!】

「え?」

【おねがい!つか、言うな!】

ついつい命令口調になってしまった。
今の康介に私関連の事を言ったって稔人君が嫌われるだけだ。

「…お、OK」

ちょっと引いたよね。
命令したの初だし。

【ごめん。私、先に帰ってもいいかな?】

もう、逃げたい。
よし、逃げよう。
こんな心の弱い私を誰が殴って。

「?…じゃあ、康介に言っとくわ!
って事でバイバーイ!」

ヒラヒラ手を振り合う。
本当に言わないよね。稔人君。
今日だけは、彼を信じてみよう。
絶対に言うと思うけど。



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