無声な私。無表情の君。
校門へ行くと既に東雲君がいた。

「あれ、案外早かったですね」

もしかして、ずっと待っててくれた?そんな訳ないよね。
そんな訳……。

「じゃあ、帰りましょうか」

コク

「ふふ、誰かと帰るなんて何時ぶりだろう。本当にありがとうございます」

え?東雲君が?
こんなに美形なのに?
こんなに紳士なのに?
ありえない。

「今、ありえないって思ったでしょう」

ず、ぼ、し☆

【なんでわかったの?】

「……。
先輩は素直なんですね。
人の考えてる事なんて大体想像つきますよ」

この時、私は直感的にわかった。
この人、私と同じ。

「言うのもなんですが、父が東雲製薬の社長なんです。
それを皆が知って俺を毛嫌いしてるんです。
だから小学生の頃からまともに友達なんて作った事がないんです」

やっぱり。
イジメ、受けてたんだ。
世界は広いな。
こんな人にもイジメを受けさせるんだから。
世界って不平等。

でも、東雲君みたいな人が何で私と一緒に帰宅してるの?
普通、独りの方が楽じゃない?
経験上、思ったけど。

「……ってこんな話はどうでもいいんです。
先輩について、聞いてもいいですか?」

コクコク

【なんでもこい!】

康介と付き合ってから、大分、人嫌いも直った。
今なら男子だろうが女子だろうが大人でも、それなりのコミュニケーションがとれるようになった。

久々に誰かと歩く帰り道。
楽しくて楽しくてしょうがなかった。
そして、会話が楽しくなるに連れて思う。

康介とまた一緒に帰りたい。

こんなワガママ娘、康介は大嫌いだよね。
ごめんね、貴方の事を忘れるにはまだまだ時間が掛かりそう。

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