無声な私。無表情の君。
無我夢中に走って息切れしながら席に着いた。
よりによって1番西側の教室になった事を今更ながら恨んでおく。

そして時は過ぎて、只今1時間目終了直後の休憩時間。
私は、探し物をしていた。

あれ?ない。何処にもない。私のメモ帳。どこやったっけ?落とした?いつ?

もしかして......あの時?

どうしよう、困ったな。あのメモ帳は私にとっては、大切な物なのに...。
今更廊下に落ちてないだろうし、先生か、誰かの手に渡っているんだろう。
それがどうか、友達であることを願う。

「ん?愛、どしたの?」

今、急に私の名前を呼んだコイツは私の数少ない友達の姫島優香(ひめしま ゆうか)。クールな顔をしてるけど、中身は優しさの塊。

【メモちょう、無くした】

メモ帳が無いので、机の上にシャーペンで書いた。

「ありゃま、ホントだ。最後に使ったのは?」

【あさ。ろうかで人にぶつかって使った】

「そんときじゃね?多分」

【やっぱ?】

「うん」

【探してくる】

「ついていこか?」

【いい】

「じゃあ、周りのやつらに聞いとくわ」

こうして私はメモ帳を探しに廊下へ出ていったのだった。
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