冷血上司の恋愛論
初めて会った日も、藤井は、気が強くて芯がしっかりした女だった。


いつ、どんな相手でも変わらない。


強い女でもあり、人知れず涙を流す本当は弱い女。


それに加えて、今、新しい藤井を発見した。女性らしい可愛さも持ち合わせているということを。


守ってやりたい。
支えてやりたい。
可愛がってやりたい。


その為なら部長だろうと専務だろうと元カレだろうと、先程のように口から出まかせでも言える。


藤井が望みさえすれば、全力で受け止めてやる。


ガヤガヤと煩い女どもが、敵にも味方にもなるだろう。


現に、睨み付ける大小コンビも、目を輝かせる1年目の社員もいる。


暫く観察をしてから、俺は、一旦席を外した。


夜風がほろ酔いの俺に気持ちよく当たる中、気の進まない相手に電話をかけた。


「はい、田所です」


「SBコーポレーションの藤城です。今日は、ありがとうございました。少しよろしいですか?」


緊張した返事が返ってきて、電話の向こうで田所が息を飲んだのが伝わってくるようだ。

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