冷血上司の恋愛論
「そうでしょうね。でも、俺が万利乃の元カレというのは変わらない事実ですから」


「元カレ止まりだろ?捨てた女が、どんなにいい女だったか死ぬほど後悔するんだな」


「…………」


「あぁ、忘れてた。藤井がそちらに行く日は、奥さん居ないほうが良いと思いますよ。貴方が隠しても、女のカンは鋭いですから」


「ご忠告どーも。あぁ、こちらも言い忘れてたけど、万利乃は、見た目酔ってなくて酒に強そうだけど、急に甘えてきたかと思うとすぐに落ちるから。あの甘えた顔が、」


ツーツーと今頃無機質な音を田所は聞いているだろう。


俺は、甘えた顔など他の男に見せてたまるか、落ちた無防備な姿を他人にさらせるかと、超特急で走った。


俺が抜けてた僅な時間にも酒を飲まされて、酔いが回っていたらと思うとゾッとする。


甘えた顔を見せる前に、家に送り届けてやらないと。


使命感に燃えた俺の目の前の光景が先程と全く変わらないことで肩の力が抜けた。
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