ぼくたちはあいをしらない
　家についた茂は、すぐに粉ミルクの蓋開ける。
　そして、ミルクの準備をする。
　静かな部屋で……

「美奈？」

　不審に思った茂が、美奈がいつも眠っている部屋に向かう。
　すると黒い服を着た男が3人そこいにいた。
　近くにはビニール袋を頭に被せられた赤ん坊がいた。

「美奈！」

　近づこうとする茂を黒い服を着た男たちが突き飛ばす。

「赤ん坊のことより借金返せよ？」

「……美奈になにをしたの？」

　茂が尋ねる。

「はぁ？
　泣いてうるさいから殺したよ。
　子供作る暇あるなら借金を返すのが先だろう？
　早く返せよ！金返せよ！」

　黒い服を着た男の1人が茂の体を踏む。

「そうだな、金は返さなくちゃいけねぇ」

　もう1人の男が、タバコに火をつける。
　そして、煙草の煙を吐きながら茂を蹴った。
　何度も何度も蹴った。

　「勝也……勝也……助けて……」

　茂は、心の中で呟いた。
　すると勝也の声が茂の心に響く。

　「しょうがないなぁ」

　勝也の声とともに、茂の中の心を白い光を包み込む。

「はい。
　俺、登場！」

　勝也は、そう言うと黒服を着た男の足をつかむ。

「ああん？
　なんの真似だ？」

　黒い服の男をの質問に勝也が答える。

「こうするんだ」

　勝也は、そう言って足を掴まれた男の体を投げ飛ばす。

「ガキが！
　なめた真似を！」

　別の男が、そう言って勝也を睨んだ。
< 7 / 96 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop