ぼくたちはあいをしらない
 勝也は睨み返す。
 しかし、どこかその目は嬉しそうだった。

「なんだ?
 その目は……」

 黒い服の男の1人が、勝也に蹴りを入れる。
 しかし、勝也はその足さえも受け止める。

「ねぇ?死ぬ?
 1回死ぬ?」

 勝也の言葉に黒い服の男は恐怖する。
 その勝也の言葉遣い、その表情、その言葉に……
 その全てに……
 しかし、相手は子供で自分は大人。
 黒い服の男が、ポケットからナイフを出そうとしたとき、勝也がそれよりも早く動き男の喉元に先ほどのバタフライな負を近づける。

「動くな。
 動くと殺す、話しても殺す。
 死にたくなければゆっくりとナイフを置いて手を上げろ」

 勝也がそう言うと黒い服を着た男のひとりが、勝也に向かい椅子をぶつけようとした。

「大人を舐めんじゃねぇぞ!」

 勝也は、それを高く飛び上がることでその椅子を避けた。
 そして、ナイフをその男に向かい投げる。
 しかし、そのナイフは男にあたることはなかった。
 銃声とともにナイフが地面に突き刺さる。

「動くな警察だ」

 百寿が、銃を構えながら現れる。
 すると黒い服を来た男が勝也の方を指さす。

「おまわりさん!
 こいつ人殺しです!」

 しかし、その言葉は百寿には届かない。

「来島 茂!
 殺人未遂の容疑でお前を補導する」

「なんで?」

 勝也が、百寿の方を見る。

「おとなしく言うことを聞いて下さい」

 南が、そう言いながら銃を構える。

「どうしてだ?
 どうして美奈が、殺されるのは黙ってみていたくせに俺が美奈を殺したやつを殺すの止めるんだ?」

 百寿は、答えない。

「どうしてだ?
 答えろ!」

 百寿は勝也の言葉に聞く耳を持たない様子で無言で銃を向ける。

「俺の仕事は、お前の監視なんでな。
 だが、赤ん坊の件は悪く思っている。
 すまない。だが、お前にはここで投降してもらうぞ?
 茂!」

 百寿は、そう言って威嚇射撃をした。
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