嘘恋

ウソつき。








放課後になって、すぐ電話をかけた。





「はい」





「あたし。今学校おわったよ!」





「おー!おつかれさん」






電話の向こうの彼の声はいつもとかわらない。








「会いたいって…なんかあったの?今日なんで学校来なかったの?」






すると少しの沈黙のあと、成瀬は笑って口を開いた。







「あー、ごめん寝ぼけてた!」







「寝ぼけてた?」







「今日学校来なかったのは寝坊してめんどくさかっただけ〜」






「…もー!心配したんだから」






「わるいな!まぁ会いたかったのはウソじゃねーよ」







…成瀬。



本当はあたし気づいてるよ。







寝坊したのに、どうして朝早くメールをしてこれたの?





寝ぼけて、どうしてあたしにメールなんかしてくるの?







…矛盾しすぎだよ。





ほんとは



なにかあったんじゃないの?





…なにか隠してるんじゃないの?




学校に来ない理由はなに?







「もー。ばかっ…」






なんで、なにも言ってくれないんだろう。

そんなにあたし頼りないかな。






「今日おれんちこいよ」




「え?」




「泊まりで」





「泊まり!?」





「おー。晩ご飯つくって」





「え…」





「待ってる」








そしてプツッと、切れた。








「まったく…」







ご飯なんて、そんな得意じゃないのに。




それに、クリスマスイヴにどーせ泊まるんだからその時でいいじゃん。




イヴ、明日だよ?







待ちきれなかったのかな。







「よし、材料買いにいこっと」
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