私と執事

雪化粧の色 初冬

初冬の庭、私は大きな雪玉を転がす。
隣には執事───彼がいて、一回り大きな雪玉を転がす。
雪ダルマを作りましょうか、昨日彼が提案した。
初冬なのにけっこう雪が積もったから、作るのに最適だ。
「お嬢様、そろそろ重ねませんか」
「もう少しだけ」
彼は笑って雪玉を転がす。
「楽しいね」
「ええ。とても」
彼も楽しそうで。

暫くして。
「雪が降って来ましたね」
彼の黒いコートに白い雪化粧。
「雪化粧似合ってる」
と、私は雪を掬って彼に振り撒く。
「厚化粧しないでくださいよ」
「この際、雪ダルマの中に入っちゃえばいいんじゃない?」
彼は苦笑して、大きくなった雪だまを重ねた。
そして。

「ちょ、冷たい」
両手で雪を掬って私に振り撒く。
「仕返しですよ。全く、可愛い事ばかりしてくれますね」
責める語調じゃない。
「頬、真っ赤。少々遊び過ぎましたね。暖炉の前で暖まりましょうか」

頬が真っ赤とか、貴方の所為よ。
雪化粧って白だから、赤が映える。

………勘弁してよ、執事さん。
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