「お前は俺のモノ」【完結】
【今終わり、これから向かいます!】
少し経ってから、返事が来る。
【はいはい、了解】
私は葵兄のバンドでボーカルとして歌っていた。
葵兄から誘われたのは、高校生の時。
最初は恥ずかしくて、無理って言ってたけど、熱烈なオファーに一度だけと言って受けたんだ。
平均より少しうまいとしか思ってなかった自分が、ステージに立つ。
それが私には楽しくて、初めての経験で。
世界が変わった様だった。
それから、私は自身の技術向上の為に腹筋をしたり、密かに練習をしていた。
まあ、“あれ”とは、バンドの練習ってだけなんだけども。
なんか、ハッキリと言うのは、何故か気恥かしくてどうしても“あれ”と言ってしまう。
陽子に本当は教えるつもりもなかったんだけどね。
葵兄と一緒にいるとこを見られて、彼氏かって詰め寄られたから白状しただけであって。
陽子は一度、私のライブに来た事がある。
そこで見た葵兄の事を言ってるんだろう。