「お前は俺のモノ」【完結】

無言のまま、マンションに到着すると部屋へと向かう。
どこにも行かないのに、彼は車を降りてからずっと私の腕を掴んでいた。


昨日までは一人だった部屋。


今日は彼がいる。
たった少しの間だけ一人だったのに、もうかなりの期間一緒にいない様な気がした。


それ程に、彼の存在が私の中で大きくなっている事に気付く。


「……タエ、隣座れ」


彼に取ったら、きっと何の気なしに放った言葉だろうけど。


“違う、お前あっち座れ”


そう、拒絶された私はそんな言葉でだって喜びを感じてしまうんだ。


隣にストンと座ると、彼は私をソファにゆっくりと押し倒す。


「…抱くぞ?」

「……」


そうやって宣言するけど。

どうせ。


私には拒否権なんてない癖に。
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