離してなんかやるかよ。



っていやいや待てよ。



この状況を上手く使えば



こいつと腕組んで歩いてるとこ柚來が見れば―…




『颯ってやっぱりチャラ男だったんだね。そうやってすぐ女の子に手出したら別れてやっぱり来る者拒まず去る者追わずなんだね。もうあたしあんたみたいなチャラ男とは話さない。あたしやっぱり直谷くんが好き。あんたなんか大嫌いっ!もう直谷くんの家に住む!』




って言われてあいつは俺に二度と話しかけないし俺の家を出て行く気がする―…




この前まで柚來は俺のこと嫌いなくせに話しかけてきてたから



俺は嫌いなくせに話しかけてくんなよと思いつつも本当はすげぇ嬉しくてあいつのことを嫌いになれなかったしむしろもっと好きになってしまった。




だからあいつと2度話さない様にすれば俺はあいつを今度こそ忘れられるし嫌いになれる―…




「颯〜♡颯すごいいい匂いするっ!生クリームとチョコレート混ぜたような匂い!いつもと違う香水でもつけてるの…?」





俺にくっつく女はそう言うけど。



あーさっきチョコレートドリンクで生クリーム使ったからな。



匂いまだ残ってるんだと思う。



「そう言えば颯のクラスのコスプレ喫茶に午前中行ったけど!白雪姫の女の子がすごく可愛くて生クリームの香りがしたよ〜!颯とは会えなかったけど白雪姫の子すごく可愛かった!つい写真撮っちゃった」



「え?写真!?まじ!?それくれよ」



ってなに言ってんだよ、俺!



柚來のことは嫌いになるんだろ。



白雪姫の子つまり柚來が生クリームの匂いとか別にどうでもいいし。



柚來と俺、話してたからその匂いが俺にうつったかもしれねぇけど



ぶっちゃけ柚來の白雪姫の姿は可愛すぎだけど



写真ほしいけど




「やっぱりいらねぇ」




俺はあいつを嫌いになるって決意したんだ。




あいつを忘れる。



あいつを嫌いになる。



そして俺はこの女と午後の部は文化祭を回ることにした―…



その時はとんでもない事が起こるとは知らなかった―…




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