離してなんかやるかよ。

眩しい。


窓から光が照らす。


昨晩の色鮮やかな派手な光じゃなくて太陽光。


「…っ!そ、そう!?起きてっ!」



耳元で大好きな声が聞こえる。


「んー。柚來…、いいよ。ちゅーしたいんならしろよ…」


「…なに寝言言ってるの?先生入ってきちゃうよ~!早く起きろ、このド変態野郎!」


急に宙に浮かんだと思ったら柚來に投げ飛ばされた俺。


「おーい神崎。朝食の時間は終わった、とりあえず早く起きろ、というか宇佐美の声が聞こえたんだが先生の思い過ごしだったか。そう言えば宇佐美も朝食の時間いなかったな、お前らまさか…」


この声は先生?


ここはホテル。


で、朝?


俺を床に投げた柚來は昨日とは別人みたいに俺に上目遣いではなく頬をプクっと膨らまして睨んでる。


「あたし隠れてるから出てっ!」



俺が部屋を出ようとした途端扉が開き先生が扉から顔を覗かしてきた。


「あぁ、先生。おはよーございます」


柚來とキスできそうだったのになんで今来るのかよ。



「今何時だと思ってんだ?11時だ!もう昼なるんだ、というかお前宇佐美と寝……」


「別に誰と寝ようが先生には関係ないじゃないですか」


「お前……」


「それに俺はアイツじゃないヤツとは寝たいとか思わないんで」


「…お前」


さっきから先生、お前お前ってすげー煩わしいんだけど。


他になんか言うことねぇの?


ねぇならもう終わりでいいですか。


俺は扉を閉めようとする。

「ちょっと待て。神崎……お前ずっと宇佐美を守り続けろよ」


「言われなくてもわかってますよ?アイツの隣は、俺じゃなきゃだめなんで」


じゃあ失礼します。


俺は扉を閉めた。


扉を閉め部屋の方を向くと……



「ぎゃっ!このド変態野郎!」



本日二度目、柚來にヘンタイ呼ばわりされた。



……見てはいけないものをこのNY旅行で2回も見たわ。


今は柚來着替え中で下着姿だった―…


俺はふたたびドアの方を向く。


「色気ねぇお前のぺちゃぱいに興味あるやつなんかいねぇよ」


「……おい叩くぞ」




「つーかいたらそいつ俺が叩きまくるわ」

「……え」

「ばか、間に受けんな」


「…………っ、ぎゃ~っっ!なんで着替えてんのよ?」



柚來が着替えてる間、俺も着替えてたらこいつに何かを投げられた。


ん?


足元を見ると柚來に投げられた物が落ちてある。


それは昨日の黒のワンピース。


「ぎゃあ~!汚い手で触んないでよ」


ホラー映画に悲鳴をあげない柚來が俺に悲鳴をあげている。



ただワンピースを拾ってやろうと思っただけなのに。


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