コドモ以上、オトナ未満。


「よかったね、無事に完成して」

「うん……これできっと、真咲の心にも、いい思い出として記憶されるよね」


何気なくあたしがそう呟くと、その横顔をじっと見つめていたカナコが言った。


「ココちゃん……あのね。すごく、今さらなんだけど……」


なぜか気まずそうに、スカートのひだをぎゅっと握っている。


「カナコ、どうしたの?」

「――ゴメンなさい!」


いきなりかぶせ気味に、そう言ったカナコ。

あたしは全く意味が分からず、首を傾げる。


「ココちゃんの、誕生日の日……私、ココちゃんと別れた後で真咲くんから電話もらって……」


真咲が、カナコに電話?

……それは初耳だ。理由はだいたい想像がつくけど。

あたしの様子とか、居場所とか……そういうの、カナコが知らないかって、聞こうとしたんだろう。


「そのとき……私、真咲くんに伝えたの。“大っ嫌い”――って言葉を、ココちゃんからの伝言だって」


……あのとき。あたしは確かに、カナコにそう伝えてくれと頼んだ。

だから、別にカナコが申し訳なく思うことなんて……


「それは、あたしが“伝えて”って頼んだからでしょ? カナコが悪いわけじゃ……」

「……違うの。私、そんな言葉、ココちゃんの本心じゃないってわかってたから、本当は伝えるつもりなんてなかった。
でも……一瞬だけ、思っちゃったんだ。それを伝えたら、真咲くんとココちゃんが別れてくれるかもって」



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