愛していると言わないで。
「ねぇねぇ、そこの君。もしかして、迷子ちゃん?」
サボる計画を立てていたその時、上から声が聞こえてきた。
チャラい感じの、若い声。
「……」
私は何も答えないでいる。
この人が誰か分からないし、姿も見えないから
不用意な事を言いたくない。
「あれ?聞こえてない?おーいおーい」
「……」
私がヒロインだったら、ここでなんなんですか。
とか言って興味を持たれるフラグを立てていたんだろう。
俺達の事知らないの?→へぇ、君面白いね。→俺と付き合ってよ。
の流れは、流石に回避したい。
そのまま無言で立ち去ろうとしたら、さっきの声がまた降ってきた。
「ちょっと!
帰ろうとしてるでしょ?
いいの?今更行っても途中で入ることになって凄く目立つよ?」
だからといって、貴方に付き合う義理もありません。
そんな事を思って、今度こそここを離れようとする。
きっと木の上にいるであろう、彼に向かって、視線を向けてから背を向ける。
「まったくもう……よっと」
すると、目の前に人が降ってきた。