白い雛鳥

-リィナside-

どうやら他の奴らは男の子の存在には気付いているが目の前の獣が強すぎてそちらまで手が回らないようだ

嗚呼、本当に馬鹿としか言いようがないな

仕事中に面倒事は出来るだけ避けたいんだが、あんな小さな子を見捨てるほど冷たい心も持ち合わせてない

「ちょ…ちょっと待ってリィナさん⁉︎」

「…なんだ」

立ち上がり茂みから抜け出そうとした私をすかさずシノが腕を掴み引き止める

「行くんですか?さっきまで放っておけって言ってたのに」

「…事情が変わった 」

男の子から目線を外さずそう言えば奴の手に力が篭る

「俺もい「お前は足手まといだからそこにいろ」」

チラリと顔を向け被せるよう強めに言えば不満げな顔をして口を噤んだ

「…分かりました。でも、本当に危険だと思ったら逃げてくださいよ?貴方に何かあったら俺は正気ではいられない」

本当に言いたい言葉は飲み込んでジッと真っ直ぐ見つめるが、どこか不安げな声で紡ぐその言葉に顔が僅かに緩んだのを感じる

聞き分けの良い犬は嫌いじゃない

「ふっ…私を誰だと思っているんだ」

あんな低脳な獣共に負ける訳ないだろう

何度かゆるゆると頭を撫でてやるとサッと身を翻し

漆黒のフードを目深に被り深く息を吐くのと同時に地面を強く蹴り上げた

「…夜は少し冷えるな」

クロンは日照時間が短い上に気温が他の国に比べて低い

暗闇を好む国王が太陽を隠す魔法を施し、それに伴い気温も下降している

よく見れば地面が少し湿っていた。私たちが来る前に雨が降っていたのだろう

これなら私の得意な水魔法でどうにかなるな

段々と男の子の姿がはっきりと見えてきたところで腕に付けたラピスラズリのブレスレットに口づけを落とした



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