白い雛鳥
-男の子side-
僕だって勇敢な戦士なんだ
こんな奴らに負ける訳ない
そう思ってはいるけど身体は動かないし手足も震えている
こんな事になったのは僕が悪いんだ
最初、ティニエへ行く道はこっちの道の方が近道だと僕が言ったから一座の座長は街灯から外れた道へ馬車を走らせた
モンスターも夜になると強くなるのは分かっていたけど僕の魔法でみんなを隠す事が出来るから大丈夫だと思ってた
だけどティニエ目前で僕の魔法がモンスターに見破られてしまった
そんなモンスターがいるのは座長もみんなも知らなかったようで、僕達は慌てて戦闘準備に入った
もちろん僕も腰に携えた短剣を手に持ち戦闘に備える
座長は僕に荷馬車の中で隠れてろと言われたけど僕だって魔法も使えるし剣も習ったから立派に戦える
だから馬車から抜け出して後ろから一座のみんなに襲いかかろうとしている巨人に僕が短剣を突き立てたんだ
だけど巨人は僕の短剣を物ともせずギロリと僕の顔を睨んだ
僕はすかさず闇魔法で巨人の手足を縛ろうと暗闇から無数の手を作り出す
だけど巨人はニヤリと笑い赤子の手をひねるように僕の作った手を引きちぎり
なんと食べてしまった
…そして更に力を増したのか近くの木を手に持つ斧で軽々となぎ倒していく
「そ…んな」
僕はあたりが真っ暗になるような感覚を覚え、だけど逃げるわけにもいかず巨人の前に立ち尽くす
ギロリと目をこちらへ向け既に獲物を捕らえたような下品な笑い声で僕に近づいてきた
嗚呼…もう死ぬのか
まぁ、身を隠して逃げ続けてもどうせ殺されるのはわかってるから、巨人に殺された方が幸せなのかもね
大きく斧を振りかざすのが見え、誰かが逃げてと叫ぶような声を聞きながら僕はギュッと目を閉じた