呪いの着メロ
 HRの時間が始まり、イの一番に霧谷は机の上に一冊の本を置いた。

 あの『片目の少女』だ。

「これがあの話に出ていた本かぁ」

 初めて見る康介の目が輝いている。タイトル文字しかない表紙に何の感銘を受けたか分からないが、俺には不気味にしか見えない。

「これと『呪いの着メロ』の因果関係が分かったのか?」

 俺が尋ねると、霧谷は「多分」と曖昧に返事した。

「これは私の憶測だけど・・・・・・この物語に出てくる女の子の呪いはまだ解けていない。だから、形を変えた。それが『呪いの着メロ』」

「えっと、分かるように言ってくれ・・・・・・」

 とくにあらすじを知らない康介に至ってはチンプンカンプンといった様子だ。

「話を纏めるとこう」

 霧谷は、俺たちに昔話でも聞かせるように語り始めた。
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