駆け抜けた少女-番外編-

ゴンッ!ドスッ!!



救世主──沖田さんは、原田さんの脇腹に肘をめり込ませ平助さんの頭に手刀をお見舞いした。


沖田さんは何をするにも良く言えば一生懸命で悪く言えば手加減が出来ない。

だから今の一撃は相当痛かったらしく、原田さんも平助さんも痛み悶えて廊下でうずくまっていた。



そしてそれは私もで、急に動いたもんだから熱が上がってフラフラして廊下にへにゃりと倒れ込んだ。




「矢央さん大丈夫ですか!?」


「ふにゅぅぅぅ…」











「まったく二人共病人を見舞いにきて、どうして悪化させてるんですか」

「いや面目ねえ」

「本当にごめんね」



あの後、私を布団まで運んでくれた沖田さん。


朦朧とする意識の中で、復活した二人を叱る沖田さんの姿を見て珍しいこともあったもんだと苦笑いした。



「あ、これお粥です。これ食べて薬を飲みましょうね~」


やけにニコニコ笑う沖田さんに少し違和感がある。


あれ?そういえば山崎さんは?




「さあさあ食べて下さい!」


出来るなら今食べたくないんだけどな、と渋りながらも沖田さんがあまりにも嬉しそうに勧めてくるから食べたくないとも言えず、平助さんに起きるのを手伝ってもらってお粥を口に運ぶ。



とりあえず一口だけでも食べ……………




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