冷徹執事様はCEO!?
ロビーへ戻ると田中は長い脚を組みソファーに腰掛け、退屈凌ぎにスマートフォンを眺めていた。

その優雅な様はラグジュアリーな空間にすっかり溶け込んでいる。

こうして改めて田中を見ると、新田の言う事がわからなくもない。

「お待たせしました、代表」

声を掛けるとこちらへチラリと視線を向けた。

「待ちました」いつもの抑揚のない言い方で言うと田中は立ち上がる。

相変わらずのポーカーフェースでその心中を伺い知る事は出来ない。

私は無言のまま、田中の後をついて歩く。

嘘つき。

田中の背中を見ながら、心の中で毒づいた。

身の回りの世話をしてくれたのも、お相手してくれたのも優しさも全ては仕事だったからだ。

しかも、月給なんてはした金ではなく、日本の広告形態を革新出来るほどの莫大な資金を得るため。

大きな志しがあれば、私みたいな単純な女に色目を使うことくらい何てことない。
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