冷徹執事様はCEO!?
私はベッドから立ち上がると、自室に備えつけられたシャワールームへ向かう。

ぬるめのシャワーを浴びてドロドロになったメイクと汗を落とす。

火照った身体をクールダウンしようとタオルを巻きつけて、バスルームから部屋へ戻る。

ウォークインクローゼットの前で立ち止まり扉を開いた。

中は当時出て行ったままの状態になっていた。

荷解きをするのも億劫なので、その中から楽そうなワンピースとランジェリーを適当に見繕う。

「燁子様、ここにいらっしゃいましたか」

後ろから声を掛けられて慌てて振り返ると田中が立っていた。

「ちょっと、入ってくる時ノックくらいしなさいよ?!常識でしょ?!」

「申し訳ございません。何度もノックをしましたし、お声も掛けたのですが応答がなかったので。また中で倒れてらっしゃるのかと心配し、中へ入って参りました。完全な、杞憂でしたが」

完全な、を強調しやがった。

田中さんはさりげなくムカつく。
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