冷徹執事様はCEO!?
しかも、同世代の女性がバスタオル一枚で仁王立ちしていても眉一つ動かさないのだ。

100歩譲って、私の身体の凹凸が乏しいにしろ、こうも涼しい顔をされていると恥じらってるのがアホらしくなってくる。

「で?何の用!?」

私は眉を吊り上げて尋ねる。

「奥様からお電話です」

「早く言えっつーの!」

田中さんが両手で差し出したスマートフォンを奪い取る。

「もしもし?ママ?」

『燁子?どうしたの?家に来るなんて珍しい』

久しぶりに聞く母の声に思わず胸がジンとする。

「あの、ちょっと事情があって。暫く家にいてもいいかな」

『大丈夫なの?あなたが家を空けて』

珍しく帰省した娘に何かがあった事を察知したのかママの声には心配しているのが滲み出ている。

「…うん」

余計な言葉を発したら涙まで出て来そうになるのでぶっきらぼうに答える。

『燁ちゃん?大丈夫?』

優しい母の声に感情が揺らぐ。
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