冷徹執事様はCEO!?
「3ヶ月は自由にしてくれるって言ったじゃない!話しが違う!」

『つべこべ言ってないで帰りますよ』

「はあ?命令しないで!田中のくせに!」

『やはり、中座するのは気が引けるのでしょうか。私が今から隣のテーブルへ行ってご一緒されてる方に、よーく、お詫びしておきますね』

よーく、を強調しているところが何だか末恐ろしい。

下手に騒ぎになるような事になれば、真巳はブチ切れ私は大恥をかくだろう。

これって完全に脅迫じゃない。

「やめてよ!」

引き止める間も無く電話は切れた。

あんのクソ執事!

私は心の中で口汚く罵ると、慌ててトイレから飛び出した。

…が、その瞬間、ずっこけそうになる。

扉のすぐ前に田中がスマートフォンを持って立ってた。

「なーんて、ね」可愛らしく小首を傾げて、ニッコリと微笑んだ。

「騙したわね?!」私は怒りで顔を真っ赤にした。

「騙した覚えはありません。勝手に勘違いされたのでしょう」田中は澄ました顔で言い放つ。

悪魔…だと思った。

「じゃ、帰りましょうか」

有無を言わさず、私の手をとると出口に向かって歩き出す。

抵抗を試みてみるものの男の力には到底敵わない。

私は引きずられるようにして後をついていく。

「ちょっと!バックとコートが席に置きっ放しなんだけど!」

「手配しているので大丈夫です」

私の抗議も虚しく店の外に連れ出される。

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