冷徹執事様はCEO!?
「ぶっ!」

その様子を見て田中は吹き出した。よほど間抜けな顔をしていたのだろう。

「いった!」

不意にテーブルの下で脚を蹴飛ばされる。

「燁子顔色悪いけど大丈夫?トイレ行って来たら?」

真巳はニッコリ笑っているけど有無を言わさぬ口調だ。此処で騒ぎを起こすな、と言いたいのだろう。

彼女には婚活のお手伝いをしてもらうために、一切の事情を話してある。

「そ、そうだね」

「大丈夫?着いて行こうか?」

キムタクが心配そうに私の顔をのぞき込む。しかし着いて来られたら余計に厄介なことになるだろう。

「ありがとう。一人で大丈夫よ」

キムタクに力なく微笑んで見せる。私は携帯を握りしめよろよろと席を立った。

女子トイレの扉を閉めるやいなや、携帯をチェックする。

着信履歴は全て「執事 田中」で埋まっていた。

…げ。

私は画面を慌ててタップし、田中に電話した。

『はい』待ち構えていたのか直ぐに電話が繋がる。

「田中!どうゆうつもり?!」

『電話が繋がらなかったため、燁子に何かあったのかと心配して迎えに来てしまいました』

全く以って白々しい。

「どうして此処が解ったのよ?!」

『勘です』田中は堂々と嘘をつく。

きっと、GPSで追跡したとか、携帯を盗み見たとか、悪どい手を使ったに違いない。

しかし、あくまでシラを切るつもりだ。
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