冷徹執事様はCEO!?
「今日は我が社の株主総会だったんですよ。稜は株主のおじさま達に虐められちゃってね」藤原はフウとため息をついた。

「今夜は恋人に慰めて欲しかったんでしょうね」

「恋人じゃありません!」素早く、且つ、きっぱり否定させていただく。


「おや、そうだったんですか。仲良く手を繋いでいるのでてっきり」

そう言って、藤原は私と田中の間に視線を落した。

連れ出された時のまま、私と田中はしっかり手を繋いでいる。

私が慌てて手を離そうとするが指を絡ませてガッチリ握り返された。

「さ、大通りまで出てタクシーを拾いますよ」

田中は何事もないような顔で、そのまま歩き出す。

全く強引なんだから。

私は小さくため息を着いてみせるが自然と頬は緩んでしまう。

交差点の差し掛かった所で信号は赤に変わった。

「いいなあ、稜は。こんな日に俺も誰かにお相手してもらいたいよ」藤原が肩を竦めて言う。

「お前もそろそろ落ち着いたらどうだ?」なんて言いながら、田中は目元を綻ばせている。

「ちょっと!お相手なんてしないからね!っつーか、なに落ち着いた側からコメントしてんのよ!」

「照れるなよ、燁子」

田中は細っそりした長い指でスルリと私の顎を撫でると、満足そうにニッコリ微笑む。

「ば、馬鹿じゃない!」

私が真っ赤になって、異議申し立てをしているうちに信号が青に変わった。
< 168 / 277 >

この作品をシェア

pagetop