冷徹執事様はCEO!?
一斉に人の波が交差点を流れて行く。

しかし、藤原は交差点の前でと立ち止まったままである。

酔っ払ってるのかしら。

「藤原さん?どうしたの?」

藤原は阿呆のようにポカンと口を開けたまま前方の方をゆっくり指さした。

視線でその先を追うと、ビルに設置されている巨大エキシビジョンだった。

そこにはよく知った顔がアップで写し出されている。

「…田中じゃない…」

隣にテロップで『モデルRi-na熱愛発覚?!お相手はIT企業代表の青年実業家』と表記されていた。

私と田中も同様に阿保面でエキシビジョンを眺めている。

隣に映った八頭身美女も何処かで見覚えがある。

『いやーRi-naさんのお相手である田中稜さんはインターネット広告事業を展開している株式会社epicの創設者であり、現CEOという輝かしい実績をお持ちなんですねえ』エキシビジョンに映っている女性アナウンサーほうと小さく息をついた。

『そうなんですよ。今までメディアには殆ど姿を見せなかったのですが、知る人ぞ知るイケメンの独身セレブなんですよお』芸能レポーターのおっさんがしたり顔で言う。

イケメン独身セレブ…なんだ、それ…。馬鹿か…。

私は繋いだ手をするりと離した。
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