冷徹執事様はCEO!?
本当は、全然大丈夫なんかじゃない。

心が苦しくて、バラバラに壊れてしまいそうだ。

「… 大丈夫だよ」

寸手のところで喉に込み上げて来るものをグッと飲み込んだ。

「ただ、暫く家にいさせて欲しいの」

『勿論よ。気が済むまで居なさい。帰国して話しを聞きたいところだけど連日仕事であちこちに飛び回っていて』

「私は大丈夫よ。仕事して」

『今は日本の家にいないか人も随分減らしているんだけど大丈夫かしら』

「田中さんもいるし、大丈夫よ」

『でも頼りっぱなしになるわけもいかないでしょう?』

「ママ、私ずっと主婦だったのよ?自分の身の回りの事くらい出来るわ。お料理だって結構上手なんだから。帰ったらパパにも手料理ご馳走するって言っといて」

『燁子、変わったわね』

ママは感慨深そうに言う。
いつだって私を子ども扱いだ。

「うん」

でも、今の私は昔とは違う。
酸いも甘いも噛み分けたからな。

『何かあったら直ぐに連絡しなさい。連絡先は田中さんが知ってるわ』

「ありがとう。ママ」

『愛してるわ、燁子』

ママは昔から電話を切る前にはこの言葉を子ども達にかける。久しぶりだと少し照れくさいけどやっぱり嬉しい。

「私も愛してる」
はにかみながら私もお決まりの言葉を返した。
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