冷徹執事様はCEO!?
電話を切ると、堰を切ったようにボロボロと目から涙がこぼれる。
止めようとしても次から次へと溢れてきて、私はその場でうずくまり迷子になった子どものように泣きじゃくる。

その時、肩がふんわりと柔らかい感触に包まれた。

ぐっしょぐしょの泣き顔だったが驚いて振り向く。

田中が跪き、タオルを掛けてくれたのだと気づく。

「貴方、いつからそこに?」

「ずっと、いましたが」

裸同然で泣き崩れる姿を黙って見てたのか、こいつは。

「貴方ね、人が電話で話してたら普通席外さない?」

「私のスマホだったもので」

握り締めたスマートフォンに視線を向ける。

「ありがとう」

田中にそのまま返却する。

「いえ」田中は受け取るとポケットにするりと仕舞う。

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