冷徹執事様はCEO!?
が、そこに立っていたのは一人の若い女性だった。

長い黒髪のエキゾチックな美人だ。

私を見て驚いたように目を見開いている。

彼女かしら?

女性は白のカットソーにフレアスカートを履いており、休日に彼氏の家を訪ねるにしては比較的カッチリした装いだ。

ということは、職場の人かな。

「航生ですか?ちょっと待っててくださいね」

「い、いえ!結構です!お取り込み中失礼しました!で、出直します」

「いえ、私は航生の」姉です、と言う前に女性は逃げるように走り去ってしまった。

誤解させたかな、と苦々しい気分になる。

そりゃそうか。男物の服を身に付けた女が突然出て来たのだから。

私と航生の顔立ちは似てないから姉だとは直ぐわからないだろう。

私はリビングに慌てて戻る。

「兄貴きた?」

「ご、ごめん、航生。女の人だった。黒髪で美人の。なんか慌てて帰ってったから誤解してたかも」

「え?」一瞬にして航生の表情が固まる。

やっぱり、職場の人ではなかったみたい。

「ちょ…っと、俺行くわ」航生は血相を変えて慌てて立ち上がる。

「後で連絡して!鍵はオートロックだから帰る時はそのまま出て!」

それだけ言い残すとバタバタと家から出ていった。
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