冷徹執事様はCEO!?
「そんな朗らかな燁子が、離婚してボロボロに傷ついて泣いているのを見て、後悔した」

「どうして?田中のせいじゃないでしょ?」

「俺だったら、そんな苦労はさせなかったのに、って思った」

田中はふと私を見つめる。その目を見ていると、なんだか切なくて泣きたくなってくる。

「さ、散々振り回しておいてよく言うわ」私は咄嗟に目を逸らした。

「そうだな。結局信夫と一緒だ」田中は自嘲気味に笑った。

そこへ電話を終えた匠ちゃんが戻ってくる。

「車が来たぞ」

私達は立ち上がってエントランスから表へ出る。車寄せにはタクシーが2台停まっていた。

「送るよ」田中が私の腕をとろうとするが、匠ちゃんが間に入る。

「大丈夫だ。妹は俺が送る」

匠ちゃんは笑顔で物腰もやわらかだけど、頑として聞き入れないオーラ全開だ。

「行くぞ、燁子」

こうゆう時の匠ちゃんは不思議と人を従わさせる力がある。

これが従業員10万人のトップに立つであろう者の貫録なのだろうか。

私は頷いて後についていく。
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