冷徹執事様はCEO!?
「ただいま、燁子」ママがニッコリと柔らかい笑みを浮かべる。

私はピョンと立ち上がってママに駆け寄ると勢い良く抱きついた。

「おかえり!」続いてパパにもハグをする。

「どうしたのよ、突然!」

「燁子を驚かせようと思ってな」パパは目尻に皺を寄せ、ニコリと微笑む。

髪が以前よりも白くなったが、相変わらず細身で、わが父ながら中々素敵なロマンスグレーである。

「ビックリした!でも嬉しい!」

私も満面の笑みを浮かべる。

「色々大変な時に側にいてあげられなくてごめんね」

ママ柳眉を下げて、私を慈悲深い眼差しで見つめた。

「私は大丈夫よ」私はニッコリと微笑んでみせた。


この日は久しぶりに親子で夕飯を食べる。

和食が食べたい、というママのリクエストで略式会席をユウキが用意してくれた。

炊き合わせやお刺身が美しいお皿に盛り付けられて重箱のなかに収まっている。

まあ、綺麗、と言ってママは目元を綻ばせていた。

「今回はどれくらい滞在する予定なの?」

「5日には戻るつもりなだ」とパパが答える。

「そっか…」

炊き合わせの里芋をちびりと摘まんで私はボソっと呟く。

「ごめんね、燁子」ママは申し訳なさそうに目を伏せて私の手をギュッと握った。

しかし、私は別の所に思惑を巡らす。
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