冷徹執事様はCEO!?
この日一番の訪問は勿論抜け目のない跡取り息子匠ちゃんだった。

「あけましておめでとうございます」

匠ちゃんは両親に折り目正しくご挨拶する。なんて出来た立ち振る舞い。

「アキー!」

私の姿を見て甥っ子の圭人と英茉が駆け寄ってくる。

二人は二卵性双生児で今年5歳になる。

「アキ今日は綺麗ね。本物のお嬢様みたいよ」

いやいや、本物ですけどね。

私の脚にギュッとしがみつく英茉は愛くるしいのでまあ、いいや。

「ありがと」茶色の長い髪をサラサラと撫でてやると嬉しそうにニッコリ笑う。

「アキ、お年玉くれよ」圭人が手を差し出す。

「用意してあるから後でのお楽しみね」

「まあ、お前の『やすげっきゅう』じゃ期待出来ないけどな」

相変わらず可愛げのないガキだ。

スベスベした頬をニュっと横に摘まんでやった。

「燁子さん、早速ごめんね」

後ろから、圭人達の母親、つまり匠ちゃんの嫁、遙さんが苦笑いを浮かべている。

背が小さく、華奢で可愛いらしい。

物腰が柔らかくおっとりした雰囲気はいかにも育ちのよいお嬢さん、という感じである。

「おじいさまとおばあさまの所へご挨拶しに行って来なさい」

遥さんに言われると、圭人達はキャキャと楽しそうに笑いながら、パパとママの元へパタパタとかけていく。

「よく来たな。英茉、圭人」

仕事の鬼も双子の可愛い孫にはメロメロだ。
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