冷徹執事様はCEO!?
「お兄様に迎えに来てもらって、家であの使用人にでもお相手してもらえよ」

こんな酷い言葉を投げかけられるくらいなら、もう田中とは一緒にいられない。

「失礼ね!ユウキと私はそんな関係じゃないわよ!」私は怒りで顔が真っ赤になる。

「キッチンで抱き合ってたじゃないか」田中は失笑して言い返す。

「ユウキが女の私を相手にするわけないじゃない」

「…どういう意味だ?」

私の発言に、田中は眉根を寄せて首を傾げて聞き返す。

「彼、ゲイだもの」

田中はピシリと固まった。

「ゲイって…あれか?男同士で付き合ったり、なんかその色々するっていう…」

その知的な切れ長の瞳に動揺の色が浮かぶ。きっと田中にとっては未知との遭遇だろう。

「そうよ。何かおっさんみたいな表現だけど」

田中は阿呆のように、ポカンと口を空けていたかと思うと、手で顔を覆い急に声を上げて笑い出した。

真夜中に気が触れたんじゃないかと不安になる。

「だ、大丈夫?」私は恐る恐る田中に尋ねる。

「大丈夫じゃないかもな」

言葉とは裏腹に田中の表情は穏やかだ。プッツン切れてあっち側の世界にいってしまったのだろうか。

「俺はてっきり、燁子があの使用人にかどわかされてると思って… 」

「確かに、前任者にかどわかされたからね。今回はそうならないよう匠ちゃんも考えたみたい」

私と田中は目が合うとクスクスと笑い合う。

「まさか、嫉妬してたの?」

私がふざけて言うと、いつも饒舌な田中が言葉を失っている。どうやら図星のようだ。


「…それで、帰るのか?」

「田中が意地悪するからなぁ」私は横目でチラリと様子を窺う。

田中がそっと私の手を握ってきた。きっと帰ってほしくないんだろう。

「明日はパンケーキが食べたい。フルーツとクリームがたくさんのってるヤツ」

「畏まりました」田中はペコリと頭を下げる。

やっぱり、こうでなくっちゃ。

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